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2024.8.19[チーム]

[ WE ARE GAMBA OSAKA ]DF20 中谷 進之介

プライド。直訳すれば、誇り、自尊心。
プロサッカー選手の誰もが胸に宿すものとはいえ、
選手ごとにその抱き方も、考え方も大きく違う。
今シーズンのWE ARE GAMBA OSAKAは、
選手の心の奥底で沸々と煮えたぎる、
それぞれの、プライドを解き明かす。

 プロサッカー選手になった時から持ち合わせてきた『自信』は、どんな相手を前にしても揺らぐことはない。それが、サッカーを仕事にしていることへのプライドでもある。
「誰かに応援してもらってプレーする、お金を払って試合を観に来てもらうことに対して、自信を持ってプレーできる状況でピッチに立つのは当たり前のこと。それはプロとして最低限の責任だと思っています」
 ただ、その自信が、過信や慢心になっては意味がないと思えばこそ、常にアップデートは心掛けてきた。「できない自分を認める」こともその1つだ。
「揺るぎない自信があるからこそ、周りの誰かからの指摘や言葉を素直に聞き入れられないこともあるとは思います。僕も若い頃はそういう時期もありました。ただ、キャリアを重ねる中で、誰かにアドバイスしてもらうありがたみとか、誰かからもらった言葉の大切さを身に染みて感じるようになったというか。今以上の自分になるには、時に嫌な言葉や指摘を受け入れて、これまで培ってきたことを捨てなくちゃいけないと考えるようになりました」
 きっかけになったのは、18年夏に移籍した名古屋グランパスでの風間八宏監督との出会いだ。柏時代とは志向するサッカーも、戦術も大きく違う環境に身を置いて、その思いを強くした。
「アカデミー時代から柏レイソルで育ち、そこで培ってきたサッカーが全てだと思っていたからこそ風間さんに出会った当初は、自分がやってきたことを否定されたような気持ちにもなったというか。おそらくそれは、新しいことを思うように吸収できない、プレーで表現できないことへの言い訳で、逃げていただけだったんですけど。でも、監督をはじめ周りのスタッフや選手の言葉をしっかり受け入れてやっていくうちに、見えるものがどんどん変わって、新しい自分にも出会えたし、新しいサッカー観を備えることにもつながった。その経験からも自分の考えに固執しすぎず、柔軟さを持ち合わせておくことも大事だと思えるようになりました」
 もっともキャリアを重ねるほど「周りに何かを言われることは減っていく」ということも身をもって実感してきたからだろう。近年は自ら、その刺激を得る方法を考えることも増えたという。『移籍』もその1つだ。
「歳を重ねても、より感覚的なものを研ぎ澄ませて体に向き合うとか、日々の節制によっても成長はできると思います。ただ、爆発的に成長スピードを上げるとか、プレーの幅を広げるには環境を変えるのも1つなのかな、と。とか言いつつ、レイソル時代はタニくん(大谷秀和)を見て育った僕なので、心のどこかでワンクラブマンにも憧れているんですけど(笑)。でも、こうしてガンバに移籍して、1から自分を知ってもらおうと働きかけること、新たなサッカーに触れることによる成長もやっぱりあるというか。それによって上書きされた自信がまた自分を強くしてくれている実感もある。まだまだ成長したい、できるという気持ちにもなれています」
 その自信に更なる強さを備えるために「ガンバでタイトルを獲りたい」とも目を光らせた。



高村美砂●文 text by Takamura Misa

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