試合前、ゴール裏には「戦士達よ 宮本と俺達と共に闘おう」の横断幕が出されたが、選手バスを出迎えたサポーターの熱気は、大阪ダービーのそれを思わせるもの。
「あれを見て奮起しない選手はいない」と若き指揮官は、感謝の言葉を口にしたが立ち上がりから、ガンバがその気迫を見せつける。
「戦っている姿勢を見せたい」と言い切っていた倉田は開始早々、自陣の守備で猛然とスライディングを敢行したが、難敵鹿島に対して2列目に米倉、そしてボランチではトップデビューとなる高がそれぞれ、運動量を生かしてアグレッシブなプレーを見せつける。
最初に決定機をつかんだのは宮本監督が狙いとするショートカウンターだった。9分、2トップのプレスを機にアデミウソンがボールを奪いきり、ドリブルを開始。決定的な場面を迎えるがシュートは枠をとらえない。
現在16位のガンバだけに勝ち点3が必要なのは言うまでもないが、中盤と最終ラインが連動した守備を見せるガンバは「いい守備がいい攻撃になる」(三浦)と徐々に試合の主導権を握り始める。
中2日での試合となる鹿島に対して優位に試合を進めながらも、互いに激しい局地戦で潰し合いが続き、両チームともに枠内シュートを放てない展開が続いたが、均衡が破れたのは41分。FKの折り返しからガンバが先制点を献上する。
再開後のリーグ戦では3試合連続で追う展開となったが、後半は試合巧者の鹿島にボールを握られる時間が続き、守備で我慢を強いられる。
「FKで惜しい失点がありましたが、その後も頭を下げることなくしっかりと後半入っていった」(宮本監督)。サイド攻撃でも徐々にガンバ本来のスタイルであるダイレクトプレーが増え始め、サイド攻撃からチャンスを目指したガンバだが、昌子を負傷で欠く鹿島に対して決定機を作りきれないものの70分、待望の同点ゴールが飛び出した。
右サイドで圧巻の運動量を見せていた米倉が蹴ったクロス気味のボールが鹿島ゴールに吸い込まれ試合は振り出しに。
勝ち越しを目指すガンバは後半からようやくコンビネーションが合い始めて来たアデミウソンとファンのコンビから再三鹿島ゴールに迫るも、2点目には届かなかった。
77分の藤本を皮切りに食野、長沢と全て攻撃的なカードを切った宮本監督。難敵鹿島に勝ちきれなかったものの若き指揮官は「同点になってからはたくさんのチャンスも作れていたと思うし、選手の頑張りは賞賛に値する」。
ドロー発進に終わったが、宮本ガンバの可能性が攻守両面で見えた鹿島戦だった。