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2023.5.15[チーム]

[ WE ARE GAMBA OSAKA ]MF47 ファン アラーノ

今シーズンのWE ARE GAMBAOSAKAのテーマは『言葉』。
キャリアにおいて、サッカー人生を大きく動かした言葉や、
自分を突き動かすパワーワード、
今の自分につながる忘れられない体験に触れ、
独自のサッカー観を紐解く。

 プロサッカー選手としてのキャリアをスタートさせたばかりの頃、ファン アラーノは度重なるケガに苦しんでいた。
「ケガに付き纏われている限り、思う存分サッカーをすることはできない」
 変化が必要だと感じたのは、その危機感から。21歳の頃、自分に矢印を向けて、必死になって考えたという。
「多くの選手がケガ予防のために、練習以外の時間を使って筋トレをしたり、ストレッチで柔軟性を身につけるように、僕もそれらは当たり前のように行いました。ただ、それだけでは物足りなさも感じていました。そこで、周りの助言もあり、メンタルトレーニングに取り組んでみることにしました。メンタルトレーナーのもと、サッカー選手としての長期的プラン、短期的プランを立て、今の自分には何が必要で、日々の生活にどんな約束事を設けて過ごすべきかを整理することから始め、それをピッチ内外で自分に求めました。それによって目標の実現のためにやるべきこと、省くことが明確になり、その過程が自分のパワーに変わっていくのを感じました」
 もちろん、プラン立てて実行したことが全てうまくいったわけではない。だが、そこで立ち止まって、うまくいかなかった理由と向き合うことは再び、立ち上がり、前に進むための力に変わった。
「チャレンジに無駄はありません。たとえそれが失敗に終わっても、何かを変えるきっかけになったり、経験値として積み上げられることは必ずあります。というより、何がうまくいかなかった理由なのか、どうすればもっとスムーズにプレーすることができたのかを学ぶことで得た経験値は、いつか必ず力に変わります。実際、そういった失敗から学んだ小さな経験を積み重ねてきたことで今の僕があると思っています」
 と同時に、そうした過程で得た成功体験は、プレーの輝きと自信に変わった。
「正直、10代の頃の僕はプレーすることが全てでメンタルを重要視していませんでした。仮にプレーがうまくいかなかったとしても、次はうまくいくだろうと楽観的でした。ですが、今は違います。サッカーで『どうにかなるだろう』ということはなく、起きた現象についてしっかり考えて行動を起こさなければ、何も変わらないと思っています。もちろん、その中ではミスも起きます。ですが先ほどもお話ししたようにミスから学ぶことを忘れなければ、いつか必ず力に変わると信じているので恐れはありません。そうしてチャレンジを続けていれば必ず自分らしいプレーが表現できるとも思っています」
 苦しい戦いが続く今シーズンも、その考えは常に頭にある。目の前の試合に向けて自分の全てを注いで準備をし、気負い過ぎず、自信だけを胸にピッチへ――。
「僕を含めて今、このチームに関わる誰もが、心のどこかに悔しさ、苦しさを抱えていることは間違いありません。でもそれをピッチに持ち込んでしまっては絶対にいいプレーはできません。大事なのは、今シーズン取り組んできたサッカーに自信を持ち、積み重ねてきた過程が必ずゴールに、勝ちに繋がると信じて立ち向かうこと。自分たちは前に進んでいると忘れずに継続すること。メンタリティさえあれば全ての状況を変えられるとは思っていませんが、今こそ、そうしたメンタリティが必要だと感じています」
 トンネルを走り続けた先にある、強くて眩い光をみるために。



Interview and text by Misa Takamura

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