NEWS

ニュース

2025.7.14[チーム]

[ WE ARE GAMBA OSAKA 2025 ]DF15 岸本武流

昨年の戦いを通して、チームのキーワードになった『熱量』。
それらを漲らせた戦いの数々は、勝ちへの執着として表現され、スタジアムの熱狂を生んだ。
今シーズンのWE ARE GAMBA OSAKAは、その『熱量』の裏で、選手それぞれが宿すスピリットにスポットをあてる。彼らの魂は、熱意、勇気、決意は、どんな力を今シーズンのチームに与えてくれるのだろうか。

「誰かに喜んでもらえるようなプレーを届けたい」
 プロサッカー選手という仕事をそんなふうに考えるようになったのは20歳の時。それまではひたすらに、有名になること、お金を稼ぐことばかり考えていたが、自分の仕事は決して、それだけのためにあるのではないと気づいたという。きっかけは、友人に勧められて読んだ本、「手紙屋~僕の就職活動を変えた十通の手紙~(喜多川泰・著)」。ページをめくり終えた時に頭に浮かんだのが、その思いだった。
「それまでは単に、サッカー選手として成功して、もっと有名になりたい、お金を稼ぎたいと思っていたんですけど、読み進めていくうちに、果たしてそれは自分にとって意味があるのか、と考えるようになって。それより大事なことがあるかもと思うようになり、自分はどんな瞬間に一番嬉しいのかを考えてみたんです。そしたら、自分は応援してくれるファン・サポーターや家族、周りにいる仲間といった人たちに自分のプレーを通して、あるいはその先にある勝利によって喜んでもらえることに一番幸せを感じているんやなということに行き着いた。以来、自分が頑張る姿を通して、誰かに元気を与えられたり、めちゃ小さな喜び…たとえば『また今週1週間、部活や仕事を頑張ろう』というような活力を届けられる存在になろうと思うようになりました」
 面白いもので、そう考えられるようになった途端、感情の波が減り、試合に出ても出られなかったとしても、自分に矢印を向けられるようになったそうだ。
「喜んでもらうためには、立ち止まっているわけにはいかない」
そんな思いにも背中を押されて。
「10代の頃は本当によく不貞腐れていました(苦笑)。監督に起用されないことに『なんでやねん』と思うことも多かったし、その責任を外に向けていた気もします。もちろん、勝負の世界なので、そういった反骨心もなくしちゃいけないとは思います。でも、その矢印は自分に向けるべきやな、と。そう思えるようになってからはどんな状況に置かれても、日々をコツコツ積み上げることに集中できるようになった。なので、最近は『コツコツが勝つコツ』だと思っています。この間、それをヤットさん(遠藤保仁コーチ)に言ったら爆笑していましたけど(笑)」
 事実、岸本の『コツコツ』は、どんな状況に置かれても変わらずに続けられている。毎日のように居残り練習でボールを蹴るのも、その一部だ。遠藤コーチとクロスボールを上げる練習を繰り返したり、壁を置いてワンタッチからのスルーパスの練習に向き合ったり。利き足ではない『左足』のプレー感覚を磨いている日もある。試合で結果が出ても、出せなくても、コツコツ、コツコツ。それが昨今、宇佐美貴史を「武流(岸本)がどんどんサッカーが上手くなってる!」と言わしめる理由かもしれない。
「上手くなっていますかね?! 自分では実感ないですけど、でも決して器用ではない僕がピッチでできることが増えてきたように感じるのは、積み重ねの結果だと信じたい! そしてその姿を誰かに喜んでもらえていたら嬉しいです」
 記憶に新しい、第14節・湘南ベルマーレ戦ではプロになって初めて『1試合2ゴール』を挙げ、第21節・FC東京戦でも途中出場で攻撃を加速させつつ、アディショナルタイムに勝利を決定づけるゴールを奪った岸本。もちろん、ゴールシーンに限らず与えられた出場時間の中で、しっかりと役割を全うし続けているのもそのスピリットがあってこそ。その姿はこの先きっと、歓喜を生む。



高村美砂●文 text by Takamura Misa

Back Number