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2026.3.2[チーム]
[ WE ARE GAMBA OSAKA 2026 ]FW37 中積 爲
イェンス ヴィッシング監督のもとで始まった新生ガンバのキーワードは『前へ』。
選手、スタッフの誰もがその言葉を心に据えて、
プレーも思考も、さらにはフットボーラーとしての生き方を含めて前への意識を強め、サッカーに向き合っている。
今シーズンのWE ARE GAMBA OSAKAはそんな「前へ」突き進む男たちが、
キャリアを大きく動かした体験や出会いといった『突破』の瞬間にスポットをあてる。
その先に、彼らはどんな世界を見出したのだろうか。
「ガンバユースをやめたい」
ジュニア時代からガンバ大阪アカデミーで育った中積爲は一度だけ、そんな思いにかられたことがある。ガンバ大阪ユースに昇格して1年が過ぎた頃の話だ。当時は、初めて目の前に立ちはだかった『壁』と戦っていた。
「小学4年生の頃から上級生のチームで試合に出ることが多かったし、ガンバ門真ジュニアユース時代も中学2年以降は常に1つ上のチームでプレーしていて、途中からはずっとスタメンでした。その中2の夏にガンバジュニアユースとの試合で活躍できたことでガンバユースに声を掛けてもらい、高校生からはガンバユースでプレーすることになったんです。でも、ガンバ門真ジュニアユースとは全然サッカーが違ったし、技術練習もそこまでたくさんしていなかったのもあって、当初は体の強さの部分や技術面で負けているなと感じることも多かった。それでも1年生の最初の方はスタメンで出させてもらったりもしたんですけど、途中から自分の特徴である左足のシュートがなかなか入らなくなり…。どんどん出場機会も減って『何をやってもうまくいかない』みたいな感覚に陥り、サッカーをするのが辛くなっちゃったんです。気持ちの部分で負けていたんだと思います。当時は寮生活だったんですけど、お母さんに泣きながら『もうやめたい』と電話しました」
だが町中大輔監督とも対話を重ね、また母にも「出来ないことも続けていればいつか出来るようになるよ」と声を掛けられたことで思いとどまり、愚直に自分を磨くことに力を注いだ結果、中積は高校2年生の途中から少しずつ出場機会を見出せるようになっていく。大黒将志アカデミーストライカーコーチ(現奈良クラブ監督)に動き出しやシュートのタイミングを学んだことも変化に繋がった。
「大黒さんは試合が終わるたびにFW一人一人のプレーの分析をしてくれて、映像で何をどうしたらもっと良くなるのかを事細かく説明してくれました。それを自主練などでトライすることで巧くなっていく感覚もありました」
そうした積み重ねが実を結んだと感じられたのが、2年生の時に出場した日本クラブユースサッカー選手権(U-18)大会の決勝だ。同大会では一度も得点を挙げられないまま臨んだ決勝の舞台で、中積は待望の一撃を叩き込む。試合後、町中監督に掛けられた言葉に心が震えた。
「準決勝前にメンタル講習会があって気持ちをしっかり高められたのと、準決勝の前に監督から『自分が点を取ることも大事だけどチームが勝つことを考えろ』と言われて肩の力が抜けたというか。チームが勝てれば自分も喜べると思って臨んだら、準決勝も点は取れなかったけど決勝に進出でき、その決勝では先制点を決められました。試合後、監督に『信じていたぞ』と言われた時にはグッときました」
と同時に、大舞台での活躍は彼の胸に自信を宿し、『夢』の実現を後押しした。
「小さい頃から万博記念競技場でも、パナスタでもたくさんのガンバの試合を観てきました。幼稚園の七夕で短冊に『ガンバに入りたい』って書いた通り、ずっとガンバのエンブレムをつけてプロキャリアをスタートさせたいと思っていました。その夢は1つ叶いましたけど、これは始まりでしかないので。子供の頃から観て、憧れた選手と同じチームでボールを蹴っている自分に驚いている自分もいる一方で、試合に出られていない事実には悔しさしかないです。早くピッチに立って、自分がガンバを勝たせられる選手になりたいです」
今の目標は「どんな形でも点を決められる選手になること」。クラブユース決勝のように、その一発でチームを、自身のキャリアを、大きく前に進めるための戦いが続いている。
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高村美砂●文 text by Takamura Misa
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