- 初めてのJ1クラブへの移籍。ボール回しをしただけで感じた『質』の違いに動揺を隠せなかった。
- 2018年10月20日の横浜F・マリノス戦で、小野瀬は86分に移籍後初ゴールを決めた
- チームのために頑張れるだけでなく、ゴールやアシストという数字を残せる選手になりたかった
- どれだけチームを勝たせられるような結果を出せるかにフォーカスしている
「え? 俺、このチームで試合に出られる?」
2018/7/31にガンバ大阪への加入が発表された小野瀬康介、練習初日に感じたことだ。初めてのJ1クラブへの移籍で、レベルの差は覚悟していたが、ボール回しをしただけで感じた『質』の違いに動揺を隠せなかった。
「僕が加入した時は確か8試合くらい、勝てていない試合が続いていて…。とはいえガンバなので間違いなく個人の質は高いだろうと思っていたら、練習の時点で予想をはるかに超えていて。やばいな、と。試合に出ている、出ていないに関係なく個々の選手も明らかに『自分』を持っていましたからね。ヤットさん(遠藤保仁/ジュビロ磐田)は、その代表的な感じで、噂で聞いていた通り勝っていても負けていても、練習でも試合でも全くブレないし、自分のリズムも崩さない。それでいて話すと本当に普通の人で…その姿を見て逆に焦ったというか。こんな感じでテレビで観ていたハイパフォーマンスを出せるんだと思うと、一体、このチームのレベルはどれだけ高いんだ? と不安になった。そんな状況だったから最初はついていくのがやっとだったけど、一方で毎日1つずつ『これができた』ということを感じられてすごく充実もしていました」
そんな毎日を積み重ねながら9月頃からスタメンに定着するようになった小野瀬だが、それでもずっと居心地の悪さを感じていたそうだ。チームは前半戦とは対照的に勢いを示し、白星を重ねられていたにも関わらず、気持ちは晴れなかった。
「8月の終わり頃から少し人にも、ガンバのサッカーにも慣れてきて、チームも結果が伴うようになってきたし、僕もチャンスに絡めるシーンは増えていたんですけど、なかなかゴールを決められなくて…。周りの選手が『いつになったら決まるかな?』的に愛あるイジりをしてくれていたので、そこまでプレッシャーに感じていたわけではなかったけど、ただ、レベルの高い選手が揃うガンバで試合に出してもらっている責任を考えると、とにかく自分に対して必死でした。チームが勝っても喜んでいる反面、どこか居心地が悪く、心の底からは喜べないというか。『やっぱり数字だよな』って思っている自分がいてずっと気持ちがザワザワしていました」
その胸のざわつきにケリをつけられたのが、10/20の横浜F・マリノス戦だ。先制され、同点に追いつく展開の中、小野瀬は86分に勝利を引き寄せる移籍後初ゴールを決める。ようやく、チームの一員になれた気がした。
「とにかく、『ただ頑張っている選手』では終わりたくなかったんです。もちろん、チームのために走るとか、献身的にプレーするということもすごく大事なことだし、ポジション的に攻撃のつくりの部分で貢献できたらいいという見方もできないこともない。ただ、チームために頑張れて、結果に貢献するだけではなく、プラス、ゴールやアシストという数字を残せる選手になりたかったというか…そういう期待を自分にしていました。それは今も同じです。そんな風に常に高いものを求め続けることが、自分の可能性を広げていってくれるはずだから」
そう思えばこそ、今シーズンの自分のパフォーマンスにも納得していない。ガンバでの3シーズン目を迎え、加入したばかりの頃に比べて周りの期待も、このチームで先発を預かる責任もより強く感じている分、もどかしさは大きい。
「ガンバは誰もが名前を知っているクラブ。たくさんのタイトルを獲ってきたし、これからも獲らなければいけない。そのチームの先発を任されていて、チームも調子が上がってきているのに、自分の数字が上がってこないのでは、応援してくれている人たちの期待を裏切っていると言っても過言ではない。それが悔しいし、もどかしいけど、まだ取り返す時間はあるので。今はとにかく残りの試合でどれだけチームを勝たせられるような結果を出せるかにフォーカスしているし、それがこの世界で生き残っていく上でも不可欠だと思っています」
チームのために走り、戦い、その上、アシストもするし、ゴールも決める。そんな最強の小野瀬康介の姿を示せれば、それはきっと彼が目指す『ガンバでのタイトル』を後押しする大きな力になる。
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Interview and text by Misa Takamura
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