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2022.10.26[チーム]

[ WE ARE GAMBA OSAKA ]FW40 食野 亮太郎

プロとしてサッカーに向き合う中で、
選手を熱くさせるものは何なのか。
何に彼らの気持ちは震えるのか。
次に向かわせる原動力となるのか。
選手それぞれが抱く『熱』の正体を探る。

「ここにいる幸せをすごく感じている」
 パナソニックスタジアム吹田での試合のたびに、そこに漂う空気に、サポーターの熱に鳥肌が立つという。それは、以前に在籍していた時とは似て非なる感情だ。
「ジュニアユースからずっとガンバで育ってきたから、このスタジアムの雰囲気をどこか当たり前にあるものだと思っていたけど、ガンバを離れたことでここでプレーできることがいかに贅沢なのかに気がついた。実際、海外での3年間は、ピッチに立つだけで自分の熱がカ~ッと高まるみたいな感覚になったことはなかっただけに、改めて今、この世界に誇れるスタジアム、サポーターを味方につけて戦えることを幸せに感じています」
 もちろん、試合中も1つ1つのプレーに向けられる拍手、スタンドのどよめきに何度も背中を押されている。
「7月30日の京都サンガF.C.戦で復帰後初めてゴールを決めた時の盛り上がりも…『声』はなかったとはいえ、スタンドの熱がダイレクトに伝わってきて、やっぱり格別やなと思ったし、ホームではないけど勝利後のガンバクラップも最高でした。今の僕は、それを味わうためにサッカーをしていると言っても過言ではないし、そういう状況を1つでも多く作りたいという思いが、今のプレースタイルにもつながっているんじゃないかと思う」
 ガンバへの復帰後は、ピッチでの攻守にわたる献身的なプレーが目を惹く。直近の横浜F・マリノス戦でも10試合ぶりに先発メンバーから外れたものの、79分からピッチに立つとファーストタッチで追加点をアシストした。
「チームのために自分のできることを全力でやる」
 それもまた3年前にはなかった姿だ。
「当時はまだ若くて、自分をアピールして、結果を残すことが全てだったけど、今は違う。この3年間で自分なりにいろんなサッカーに触れて、やれることも増えた中で、チームのために何がベストな選択か、とか、効果的にプレーすることも考えるようになった。ただし、それが思い切りの良さ、チャレンジ精神を失うことになっては意味がないと思うので。幸い、アカデミー時代から培ってきた『前を向いてプレーしないとサッカーじゃない』というマインドは今も自分のど真ん中にあるからこそ、これからもチームのことを考えつつ、どれだけゴールに向かえるか、チャンスを作り出せるかにこだわり続けたい」
 ガンバ復帰について語る時、食野は決まって「戻ってきたのではなく、戻してもらえたと思っている」と表現する。
「海外での3年間で結果を出せなかった自分を必要としてくれたガンバには感謝しかないし、その感謝を何としても、プレーで返さなければいけない」
 より深まったガンバ愛もまた、食野の熱の源になっている。



Interview and text by Misa Takamura

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