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2023.6.5[チーム]

[ WE ARE GAMBA OSAKA ]GK1 東口 順昭

今シーズンのWE ARE GAMBAOSAKAのテーマは『言葉』。
キャリアにおいて、サッカー人生を大きく動かした言葉や、
自分を突き動かすパワーワード、
今の自分につながる忘れられない体験に触れ、
独自のサッカー観を紐解く。

 その時々で自身に投げかけられた指導者や仲間からの言葉は「どれも自分を思ってのこと」だと考え、真摯に受け止めてきた。中でも大学3年生の時に転入した新潟経営大学時代の監督、杉山学の言葉には、たくさんの力をもらってきたそうだ。
「大学生になって東海北信越選抜や大学選抜に選ばれたり、新潟経営大に転入後も、ユニバーシアード代表やアルビレックス新潟の特別指定選手になるなど『プロ』の道が見え始めたことで、簡単に言うと天狗になっていたというか。チームでうまくいかないことがあるとボールを思い切り蹴り上げたり、物に当たるなどイラつくような素振りを見せていた時期があったんです。その時に杉山監督に言われた『そんな態度をとっていたら仲間の信頼も得られないし、先のキャリアは拓けないぞ』『プロサッカー選手にはなれてもすぐにプロの世界から消えるぞ』という言葉はすごく自分に刺さったし、それを機に感情のままに行動するのではなく、グッと堪えられるようになった。そんなふうに杉山監督には、自分の良くないところをハッキリと指摘されることが多かったんですけど、そのおかげで気付かされることもたくさんありました」
 そうした信頼もあり、プロになってからも杉山には折に触れて連絡を取ってきたが、キャリアを重ねた昨今は特に、恩師との会話が自分を見つめ直す時間にもなっているという。
「キャリアが上になるにつれ、周りから指摘を受けることが減ってきた中で、杉山監督とうちの奥さんは変わらずに、その時々の自分に必要な、厳しい言葉をかけてくれる。そのおかげもあって成長を続けられているんやと思う」
 実は今シーズン、J1リーグ開幕戦をベンチから見守るなど、控えメンバーに回ることが続いた時期も、プロキャリアで初めて味わう悔しさ、自身への歯痒さとの戦いを続けていた中で、杉山からの一通のメールに救われた。
「普段、杉山監督からメールが来ることはまずないのに、そろそろ連絡しようかなと思っていた矢先に、急にぽっとメールが来て。『ゆっくり、頑張れ。大丈夫やから』とだけ書かれていました。その短い言葉にすごく重みを感じたし、なんていうか、安心しました。自分はこれでいいんやというか。これまでもゆっくりコツコツとやってきたように、どんな状況に置かれてもコツコツやり続けるしかないなと。そう思ったら肩の力が抜けて、めっちゃ気持ちが楽になった」
 そんな彼は今、再びスタメンの座を取り返し、J1リーグ戦で4試合続けて先発のピッチを預かっている。第15節・新潟戦では16年以来、7年ぶりに古巣とピッチで向き合った。
「シーズンの序盤は『今の感じだと5月の新潟戦は出られへんかもな』と覚悟していただけに対戦できて素直に嬉しかったです。昔と変わらず素晴らしい雰囲気のスタジアムで、新潟サポーターの皆さんにも拍手をいただいて、いろんな意味で自分の原点に立ち返る時間にもなった」
 巧くなりたい、強くなりたい、勝ちたい。思い入れのある新潟の地で思い出したその原点は、きっとこの先の東口をさらに強くする。



Interview and text by Misa Takamura

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