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2024.6.24[チーム]

[ WE ARE GAMBA OSAKA ]MF27 美藤 倫

プライド。直訳すれば、誇り、自尊心。
プロサッカー選手の誰もが胸に宿すものとはいえ、
選手ごとにその抱き方も、考え方も大きく違う。
今シーズンのWE ARE GAMBA OSAKAは、
選手の心の奥底で沸々と煮えたぎる、
それぞれの、プライドを解き明かす。

 自身の中で、プライドを持つべきところ、捨てるところは明確だ。

「自分がこれまで積み上げてきたこと、プレースタイルに対する自信、プライドは常にしっかり持っています。でも、一方でまだまだ発展途上の自分だからこそ、わからないことがあれば、ちゃんと周りに聞いて教えてもらう、とか、いろんな人の意見を取り入れながら成長を求めることも心がけています」

 その棲み分けが明確になったのはプロキャリアをスタートさせた、この半年間だという。特に、プロデビュー戦となったルヴァンカップ・FC琉球戦で「何もできなかった」という悔しさ、J1リーグデビュー戦でファーストプレーでレッドカードを受け退場になってしまったという屈辱も教訓になった。

「もちろんアマチュア時代よりもうまくいかないことは増えると覚悟していたし、シーズンが始まって、それを受け入れながら戦ってきた自分もいたんです。でも、あの2試合で気持ちの部分を含めて思っていた以上に落ちてしまったというか。自信を持てていたはずのプレーにまで不安を覚えるようになっていることに気づき、これじゃあいけないと思い直した。そこからは、いい意味で開き直ったというか。『どん底にいるんだから、これ以上、下はない』と考えるようになって吹っ切れた。改めて自分の気持ち次第でプレーや流れみたいなものも変わってくるんだと感じました」

 それでも、福岡戦以来の公式戦出場となった天皇杯・福島ユナイテッドFC戦は、過去の記憶が脳裏に甦り、怖さを感じていた自分もいたそうだ。

「試合展開としては3-0の状況での途中出場だったとはいえ、うまくいかなかった2試合のことを思い出してそれが体を重くしたところもあったし、緊張もしました。でも、せっかくもらったチャンスだったし、ヒガシくん(東口順昭)にとっても久しぶりの試合だったことからも何が何でも、失点するわけにはいかないと思う気持ちが自分を奮い立たせた。少しオープンな展開になっていた中で、できた部分、課題の見つかった部分がありましたけど、改めて公式戦特有の圧迫感とか緊張感の中で『もっとやらなくちゃいけない』と思えたことが何よりの収穫だったと思っています」

 サポーターの温かさにも助けられた。

「これまで出た2試合が不甲斐ないパフォーマンスだったにも関わらず、また、それを受けて、厳しい声も当然、聞こえてきた中で、この日、パナスタに集まったサポーターの皆さんは本当に温かく迎え入れてくれた。僕の胸の内をわかってくれていたのか、ピッチに出る時も、また、プレーのたびに後押ししてくれたから勇気を持って戦えた。試合が終わった瞬間は本当にそのことに感動して、皆さんの前でプレーできる幸せを感じました」

 それを肌身で味わえたからこそ「次もやってやる」「もっと成長してチームの力になりたい」という気持ちもより強くなったという。だからこの先も、自分への自信と、成長への欲をしっかり持ち合わせて、美藤倫は前に進む。



高村美砂●文 text by Takamura Misa

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