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2024.12.1[チーム]
[ WE ARE GAMBA OSAKA ]MF16 鈴木 徳真
プライド。直訳すれば、誇り、自尊心。
プロサッカー選手の誰もが胸に宿すものとはいえ、
選手ごとにその抱き方も、考え方も大きく違う。
今シーズンのWE ARE GAMBA OSAKAは、
選手の心の奥底で沸々と煮えたぎる、
それぞれの、プライドを解き明かす。
幼少の頃からサッカーが大好きで、とことん巧くなることだけを追求してきた。
「誰からも警戒されて、ボランチと言ったら鈴木徳真だよね、と言われるくらい、とにかく一番になりたかった」
その過程において、負けることからも学べると気づいたのは前橋育英高校時代だ。その悔しさを知り、受け入れることの先にある成長は、ともすれば勝つことの何倍も自分を成長させてくれると気がついた。
「中学生の時までなら仮に負けることがあったとしても『うわ、負けた! 最悪!』で終わっていた自分が、高校生になって、少しずつ『負けたから、次はこうしよう』『ここを変えなきゃいけない』と思うようになって。そこから、インターハイの準決勝や高校サッカー選手権大会の決勝というような、大きな思いを込めて戦った特別な試合での負けを通して、リバウンドメンタリティを学んだり、自分はどうやって成長していけばいいのかを考えることが増えた。そんなふうに成長意欲がより強くなるにつれ、より成長スピードが上がっていくような感覚もありました」
その考えが自身の中で確信に変わったのは筑波大学時代、小井土正亮監督の研究室で『負けかたの極意(野村克也著)』という書籍に出会ってからだ。その言葉の1つ1つに自身のキャリアを重ねながら「確かに、僕も負けたことで得たものが多かったな」と気づけたことはプロになり、勝負の世界を生き抜く上での強さに変わった。
「もちろん、勝てるに越したことはないし、いつも勝ちたいと思っています。負けから学ぶことはあるとはいえ、負けに慣れることもない。ただ、野村さんの『負けに不思議の負けなし』という言葉通り、負けることにはいつも理由があるので。どんな流れで、どういう取り組みをした結果、負けたのかをしっかり整理した上で、じゃあその教訓を次に活かそう、ってことを続けていけば、自然と勝つ確率は上がっていく。もちろん毎回同じ相手と戦うわけじゃないので一概には言えないところもありますけど、でも少なからず、負けた事実から勝つ可能性を上げていく作業は絶対にできる。そこは自分の成長を求め続けるために永遠に続けていこうと思っています」
だから、11月23日に戦った天皇杯決勝で敗れ、悔しさにまみれた経験も鈴木はすでにしっかりと自分の力に変えている。
「まずはしっかりこの試合を振り返り、自分たちが準備してきた戦い方、メンタルはもちろん、試合を迎えるまでの流れなども含めてこの結果になったことを受け止めることが大事だと思っています。そこからどこを改善して、どの部分で成長しなきゃいけないのか。負けました、悔しいです、で終わらせるのではなく、これをいかに残りのリーグ戦や来年に繋げていくのかが大事だし、僕個人も、この結果を必ず成長の肥やしにしたいと思っています」
大好きなサッカーをもっともっと巧くなるために、勝っても負けても、常に学び続ける。そのプライドが、今の鈴木徳真を作り出している。
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高村美砂●文 text by Takamura Misa
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