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2025.4.30[チーム]

[ WE ARE GAMBA OSAKA 2025 ]DF2 福岡将太

昨年の戦いを通して、チームのキーワードになった『熱量』。
それらを漲らせた戦いの数々は、勝ちへの執着として表現され、スタジアムの熱狂を生んだ。
今シーズンのWE ARE GAMBA OSAKAは、その『熱量』の裏で、選手それぞれが宿すスピリットにスポットをあてる。彼らの魂は、熱意、勇気、決意は、どんな力を今シーズンのチームに与えてくれるのだろうか。

 いかなる時も、持ちうるすべての力を出し切って、目の前の試合を戦う。それが福岡将太がその胸に宿す、スピリットだ。
「自分の全力で臨んだ結果、いいプレーができることもあれば、空回りしてしまってミスに繋がることもあるし、それでチームに迷惑をかけちゃうこともあります。でも、どれも『全力』があるからこその結果だし、だからこそ成長もできる。それを昨シーズンの戦いを通して実感したからこそ、とにかく、全力。そこを最低限の基準にしてピッチに立っています」
 思えば、福岡の昨シーズンはフル稼働の1年になった。J1リーグへの出場は36試合。自身のキャリアハイを数える数字だ。徳島ヴォルティス時代の21年にも同リーグに29試合出場したことはあったものの、当時とは違って上位を争いながらピッチに立ち続けた経験は、過去10年のキャリアとは全く違う自信を備えさせた。
「ガンバでの23年も試合には出してもらったけど、チームの結果を含めて考えると不完全燃焼で終わったというのが正直なところ。でも、去年はほとんどの試合に出場しながら、優勝こそできなかったけど、リーグ戦も天皇杯も上位争いができたし、自分が継続してきたことを結果として表現できたという手応えもあった。もちろん、課題もたくさん出たし、まだまだ成長しなくちゃいけないとも思いました。またこれを継続しなければ意味がないということもリマインドしたことの1つでした」
 そういえば、昨年7月の横浜F・マリノス戦だったか。試合後の取材エリアで彼に話を聞こうとしたところ「ちょっと今、耳が聞こえなくて」と返ってきたことがある。福岡によれば、試合後はほぼ毎回、その状態になっているという。
「試合では頭と体をフル稼働させて、アドレナリンを出し続けているので。試合後は耳が聞こえなくなったり、頭がボーッとして思考が回らないこともしょっちゅうです」
 いわゆる、バーンアウト状態ということだろう。それも、自分のすべてを注いで出来うる限りの準備をし、身体中の力を極限まで搾り出して90分を戦い切った証。話を聞いていると、そこから次の試合に向かうエネルギーをどう作り出すのかが心配になるほどだが、そこは家族にも力をもらいながら、翌日には次の試合に向かう頭と体に切り替わっているそうだ。
「試合の日は基本的に眠れず、朝方にようやく数時間寝るみたいな感じなので、起きた瞬間はまだ頭がボーッとしていることがほとんどです。でも、起きた瞬間、目に飛び込んでくる子供の寝顔を見れば一気に新たなパワーが漲ってくる。とか言いつつ二度寝しちゃうこともあるんですけど(笑)、ベッドでグダグダしている時に奥さんに掛けられる『まだ寝てるの?! もう時間だよ!』的な声も切り替えるポイントになっています。子供は素直だから起きて早々『パパ、昨日は相手のゴールにシュートしてたね!』とか言われてズキっとくることもあるんですけどね(笑)。でもそれも込みで自分がまた次の試合に向けて頑張ろうと思えるエネルギーになっています」
 今年で30歳。ベテランと呼ばれる年齢にある福岡だが、彼は自身を『オールドルーキー』と呼ぶ。
「J1の世界ではまだまだ試合に出始めたばかり。ガンバというビッグクラブのエンブレムを背負えて、周りには心強い仲間がいることをこれからも自分の力にしながら、まだまだ伸びなきゃいけないと思っています。去年の充実は一旦白紙に戻して、でも自信はしっかり継続しながら、ここから更に成長する自分を追い求めていきたい」
 全力で戦い抜く先にある歓喜の瞬間を、繰り返し味わうためにも。



高村美砂●文 text by Takamura Misa

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