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2024.2.26[チーム]

[ WE ARE GAMBA OSAKA ]FW7 宇佐美 貴史

プライド。直訳すれば、誇り、自尊心。
プロサッカー選手の誰もが胸に宿すものとはいえ、
選手ごとにその抱き方も、考え方も大きく違う。
今シーズンのWE ARE GAMBA OSAKAは、
選手の心の奥底で沸々と煮えたぎる、
それぞれの、プライドを解き明かす。

 ガンバ大阪ジュニアユースに加入したときから、プライドは抱くものではなく「何回でも折り続けながら守っていくもの」だと考えてきた。成長を求めるため、より高みを目指すために、だ。その考えはプロになってより確信に変わったという。

「恐ろしい怪物たちが顔をそろえるこの世界で、プライドなんて大事に持っていてなんの得もないというか。実際、周りにうじゃうじゃ巧い選手がいて、自分のしょぼさを痛感させられて、日々、自分の物足りなさに直面するような状況で、もしも自分のプレーに固執して『俺は今の自分のままで勝負するんや!』なんてしょうもないプライドにしがみついていたら、間違いなく今の自分はいなかったと思う」

 実際、キャリアにおける節目では、常にそのプライドをへし折られてきた。宇佐美曰く「バッキバキに」だ。いや、節目でなくとも、今も毎日がその連続だ、と言葉を続ける。

「プロ1年目も、19歳でFCバイエルン・ミュンヘンに期限付き移籍した時も、2度目の海外もそうやけど、たとえば考えを整理して、よしプライドを折らなアカンなって感じて折ったというより、自然と折れた、という感覚。自分より身体能力があるのに、自分よりも圧倒的に巧い選手ばかりの環境に身を置いたプロ1年目やバイエルン時代もそうやし、これまで自分がやってきたサッカーとは真逆の、6バック気味に守るみたいなスタイルでサイドハーフを預かった2度目の海外もそう。そんな大きな節目ではなくても、たとえば普段の練習ですら、プライドなんて邪魔でしかないと思ってる。こんな練習はしたくない! 自分のプレースタイルじゃない! ってプライドを振りかざすのは簡単やけど、プロの世界でそんなことを言っていたら生き残っていけない。だから、まずは自分のプライドを折って、周りの言葉も、やりたくないことも全部聞き入れて、『あぁ、これをするのか』ってことにも躊躇なく向き合って、『今の自分にはこれが必要よね』って受け入れて、また新しいプライドを芽生えさせる。それを繰り返せる選手にしか成長はないと思ってる」

 ただし、勝負の世界だ。そうした自分との戦いが思うような結果につながるとは限らない。全てが勝利に結実するわけでもないだろう。昨シーズンのガンバが、理想とはかけ離れた結果で終わったように。その事実とは、どう向き合い、受け入れるのか。

「勝負の世界に生きる僕たちにとって、結果が出ない、イコール、これ以上ない屈辱を突きつけられるってことやから。もちろん、悔しいし、腹立たしいし、自分に対する苛立ちとも向き合うことにもなるけど、その事実を受け入れることも、ある意味、プライドを折って次に進むってことやから。つまり、それも成長の一部だと考えれば、勝っても負けても、うまくいってもいかなくても、無駄なことなんて絶対に1つもないと信じて戦い続けるだけ」

 その継続の先にある、勝利やゴールという歓喜を掴み取るために。自分には必ずその力があると信じて。



高村美砂●文 text by Takamura Misa

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