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2025.5.5[チーム]

[ WE ARE GAMBA OSAKA 2025 ]FW51 満田 誠

昨年の戦いを通して、チームのキーワードになった『熱量』。
それらを漲らせた戦いの数々は、勝ちへの執着として表現され、スタジアムの熱狂を生んだ。
今シーズンのWE ARE GAMBA OSAKAは、その『熱量』の裏で、選手それぞれが宿すスピリットにスポットをあてる。彼らの魂は、熱意、勇気、決意は、どんな力を今シーズンのチームに与えてくれるのだろうか。

 22年にスタートしたプロキャリアにおいて、自身のスピリットにもつながる『サッカーができる喜び』をリマインドしたのは、23年だ。サンフレッチェ広島で順調にキャリアを積み上げていた最中の5月。満田誠は試合中に右膝十字靭帯部分損傷という大ケガを負ってしまう。それによって戦線離脱を余儀なくされた事実は、彼にいろんなことを考えさせた。
「長期離脱になるようなケガは高校時代以来で…。しかも、正直、その年の夏には海外移籍も描いていた中での大ケガだったこともあり、キャリアが大きく変わるのを感じました。ただ、ボールを蹴れない時間が2ヶ月くらい続いたことで改めてサッカーができる喜びを実感することもできました」
 また、その経験は、サッカーに対する向き合い方や考え方の変化にもつながったという。
「ケガをしたことで1日1日の大切さはもちろん、試合や練習での1つ1つのプレーに意味があると思えるようになった。また、いい意味でうまく力を抜いてプレーするというか、リスクのありそうなプレーへの体の使い方も工夫するようになりました」
 それもあってだろう。ケガから復帰後、特に昨シーズンは、ケガをした以前に比べてピッチに立つ時間が減った中でも、気持ちが切れることはなかったと振り返る。
「試合に出られないなら、出られるために練習をするしかないと割り切っていたというか。特に去年の途中くらいから、練習の中で成長することに気持ちを向けていたし、それを試合で出すだけだと思って準備を続けていました」
 ただ一方で、「スポーツ選手としての寿命はそこまで長くない」という自覚のもとに危機感を募らせていたのも事実で、それがガンバへの期限付き移籍の決断につながった。
「僕の場合、大卒でプロになったことを考えても高卒の選手より4年間遅れてプロキャリアをスタートしたので。だからこそプロ1年目から、新人だからと遠慮せず、自分の特徴や良さを出していかないと生き残っていけないと思っていました。その中で今シーズンが始まった時には、控えメンバーの枠数が増えた分、より攻撃的な選手が出場しやすい状況が生まれるかもしれないと思っていたんですけど開幕から公式戦を5~6試合戦っても、ほぼ出られなくて…。この状況のままシーズンが進んでいくのは難しいなと思っていた中でガンバに声を掛けていただきました」
 その決断によって青黒のユニフォームを纏うことになった満田は今、あっという間にチームにフィットし、攻撃を加速させている。その中ではこれまでの全ての経験が身になっていることを実感しつつ、本来の『持ち味』を見つめ直すことも多いという。
「広島時代にボランチやウイングバックなどいろんなポジションをしたことで、求められる仕事に応じてプレーを変化できたことはポジティブに受け止めています。ただ、ゴールへの執着や、常に『前』を向くプレーを選択できること、思い切りの良さといった本来の持ち味が、『横』の選択になってしまったり、パスを選ぶことが増えているのも事実なので。咄嗟の判断で周りを探してしまうことが全て悪いとは思っていないとはいえ、思い切りの良さや、シュートの回数、足を振る場面はもう少し増やしたいな、と。そこは試合の展開やチームで任せられるポジション、役割も関係してくるところなので、その時々で優先順位を考えてプレーしていこうと思っています」
 的確な状況判断から、いち早く自身がすべき役割を見つけ、それをプレーで表現する。ガンバで示し続けているそのプレーで、より相手に脅威を与えるためにも。



高村美砂●文 text by Takamura Misa

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