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2023.5.1[チーム]

[ WE ARE GAMBA OSAKA ]MF48 石毛 秀樹

今シーズンのWE ARE GAMBAOSAKAのテーマは『言葉』。
キャリアにおいて、サッカー人生を大きく動かした言葉や、
自分を突き動かすパワーワード、
今の自分につながる忘れられない体験に触れ、
独自のサッカー観を紐解く。

「サッカー選手でいられなくなるかもしれない。このままだとサッカー人生が終わってしまう」
 そんな感情に苛まれ「変わらなければいけない」と思えたことがプロサッカー人生の分岐点になったという。プロ6年目の17年、期限付き移籍で在籍したファジアーノ岡山時代の話だ。
「16年は清水エスパルスもJ2リーグを戦っていて、対戦相手としての岡山には強くていいチームだなという印象がありました。その年の岡山はJ1昇格プレーオフの決勝にも進出したこともあり、J1に一番近いチームだと思っていました。ただ、清水から期限付き移籍をする際は、自分のプレーへの自信もあったし、実際、練習に合流してからも試合に出られると信じて疑わなかったです」
 ところが、岡山での新シーズンが始まっても一向に先発のチャンスが巡ってこない。そのことへの不安と焦りが大きくなっていく中で、長澤徹監督が求める『サッカーの本質』に触れ、自分の物足りなさに気づいた。
「徹さん(長澤監督)には戦うこと、走ること、球際に強くいくことというサッカーの本質を常に求められていましたが最初は、足りないと指摘されても『ちゃんといってるのにな』と思っていたんです。でも練習を重ねるうちに、周りのチームメイトが僕よりは少なからずあと1~2歩、ボールホルダーに踏み込んでプレッシャーをかけている姿を見てそういうことか、と。自分の『いっている』感覚は、全然足りていないと気づかされた。そこからはもう、必死です。このままJ2で試合に出られなければサッカー人生が終わってしまうという危機感から、とにかく毎日必死に走って、戦って、出し切る、を繰り返していました」
 それによって、巧い選手から戦える選手へと変貌を遂げた石毛はJ2リーグでの試合経験を積み上げ翌年、清水に復帰。J1リーグ29試合に出場したが、以降はケガに苦しみ、21年夏には再び岡山へ。自分を取り戻すための決断だった。
「清水とは最後の契約年だった中での期限付き移籍だったこともあり、この時もとにかく結果を出してその先の可能性を広げなきゃいけない、岡山で何も残せなければ来年以降はチームがないかも知れないという危機感はありました。ただ、17年の経験をもとにしっかりハードワークをして戦えばやれる自信はあったし、それがそのままプレーに出せたという手応えはありました」
 事実、この年のJ2リーグで石毛はシーズン途中の期限付き移籍ながら、14試合に出場し6得点と躍動を見せる。それが、ガンバ大阪への移籍にもつながった。
「昨年後半は、思うように試合に絡めなかったけど、今年は自分のやりたいサッカーと、監督の目指すサッカーが合致している中でプレーできている。そんなシーズンはなかなかない。だからこそ、自分の存在を強烈に示せるシーズンにしたいと思っています。特に最近は、試合に使ってもらう時間が増えている中で、21年の岡山での時間と似たような感覚でプレーできているので。ガンバでできるだけ長くプレーするためにも、今の時間を確実に自分のものにしていきたいと思っています」 
 崖っぷちに立たされた中で手に入れたハードワークを、自分を輝かせる『ベース』にしながら。



Interview and text by Misa Takamura

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