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2023.6.19[チーム]

[ WE ARE GAMBA OSAKA ]FW11 イッサム ジェバリ

今シーズンのWE ARE GAMBAOSAKAのテーマは『言葉』。
キャリアにおいて、サッカー人生を大きく動かした言葉や、
自分を突き動かすパワーワード、
今の自分につながる忘れられない体験に触れ、
独自のサッカー観を紐解く。

 「家族を幸せにしたい」
14~15歳の頃、そんな思いを抱いたことが「全ての始まりだった」とイッサム ジェバリは振り返る。家族と離れて生活を送りながらサッカーと向き合った日々は、彼に大きな責任感を備えさせた。

「ごく一般的な家庭に生まれた僕は、アフリカの多くの子供たちがそうであるように遊びでボールを蹴っていた流れからサッカーが好きになりました。12歳の時に実家から250キロほど離れたクラブチームのトレーニングセンターで寮生活を送りながらサッカーをするようになり、それが本気でサッカーと向き合うきっかけになりました。ちょうどいろんなことに興味が沸く年頃でもあり、同世代のチームメイトは週末になると、どこに遊びに行こうかと盛り上がり…それはある意味、ノーマルなことでしたが、僕の視点は常にサッカーだけに向けられていました。サッカーに専念するという自分が選んだ道を、自分で裏切りたくなかったからです。特に14~15歳の頃に『プロサッカー選手』を意識するようになってからは、家族を背負うという責任を持てる自分になることだけが目標になりました」

 夢が現実になると確信したのは16歳の時。最初に家族にそれを打ち明けた際は、信じてもらえなかったそうだが、ジェバリは17歳でプロ契約を勝ち取り、念願のプロキャリアをスタートさせる。以降も変わらずサッカーと真摯に向き合う日々が彼のキャリアアップを支えてきた。

「17歳のデビューから15年近いプロキャリアを歩んできましたが、その過程も、今の自分もとても誇らしく感じています。もちろん、やり方次第ではもっと上にいけたんじゃないか、ケガがなければ違うキャリアがあったんじゃないか、と思うところはあります。ただ見方を変えれば、そのおかげで今のキャリアがあり、チュニジア代表としてワールドカップにも出場することができ、ガンバにも来ることができました。これはライフスタイルを含めて自分の『サッカー』には何が必要かを考え、いろんなものを捨てて、いろんなものを磨いてきたからだと自負しています」

 自分を惹きつけてやまないサッカーの魅力にも後押しされて。

「僕はサッカーをしている時に沸々とみなぎる闘争心、アドレナリンがたまらなく好きなんです。1対1に挑む気持ち、ピッチ上でのさまざまな駆け引き、競争が楽しくて仕方がない」

 もちろん、その先に『勝利』があれば理想だが、敗戦もまた「サッカーの美しさ」だとジェバリはいう。

「端的に言うと、僕は負けるのが大嫌いです。なので、負けた試合の後や少し前のように順位表の一番下にガンバの名前がある状況は本当に悔しく、苦しさしかありません。できることなら勝ち続けたい。いつもそう思っています。ですが、僕たち選手は敗戦からも多くのことを学び、考えます。もしかしたら勝っている時以上に、です。そしてそれは自分やチームを成長させてくれます。だからこそ、屈辱もまたサッカーの美しさだと捉えて、その場から逃げることは絶対にありません。どんな時も、結果を出すために前を向いて戦う、サポーターの皆さんにハッピーを届けるために立ち向かう。それが僕のスタイルです」

 サッカーから逃げずに戦い続けた先には、必ず大きな歓喜があると知っているから。そう。直近のFC東京戦のように。



Interview and text by Misa Takamura

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