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2024.4.8[チーム]

[ WE ARE GAMBA OSAKA ]MF10 倉田 秋

プライド。直訳すれば、誇り、自尊心。
プロサッカー選手の誰もが胸に宿すものとはいえ、
選手ごとにその抱き方も、考え方も大きく違う。
今シーズンのWE ARE GAMBA OSAKAは、
選手の心の奥底で沸々と煮えたぎる、
それぞれの、プライドを解き明かす。

 キャリアを積むほど、自然と物事を柔軟に考えられることが増え、いろんな意見を受け入れられるようになった。誰かに言われたことを「まずやってみよう」というマインドで取り組めるようになったことで、サッカー観に奥行きが生まれ、それが自分の力に変わるという成功体験を繰り返してきたことも理由だという。
「基本的に、僕は何をするにしても自分が納得しないと取り組めない性格なので、自分のことを思って勧めてもらったことはまずやってみるけど、全部を取り入れるわけではないです。教えられた通りにやることもあまりない。もらったヒントをベースに、どうすればより自分に適した形で取り入れられるのかを考えるというか。最近はそうやって考えることを楽しめるようになった分、自分に一番あった形にアレンジしてやることが多いです」

 『考える』面白さに気づいたのは30代に入ってから。以前なら筋トレ一つとっても重いものを持ち上げることに終始していたが、近年はそのトレーニングの意味や効果を理解して取り組むことが増えた。
「若い頃はそういうことをいちいち調べるのすら面倒でしたけど(笑)、最近はなぜその動きがいいのか。鍛えたい場所を効果的に鍛えられているのか。どの筋肉を動かせば、どこに効いてくるのか、など、体の構造を自分で調べたり、人に教えてもらったりする中で、その時々の自分に必要なトレーニングを、必要な強度で効率よく取り入れることができるようになった。ただ、若い頃のようにガムシャラに突き進むのがいい方向に働くこともあり…一概にどっちがいいとは言えないので、何でもかんでも考えるわけじゃなく、時には直感も大事にしているけど(笑)」

 そんな柔軟さを備えるようになった一方で、絶対に譲れないものもある。
『自分がナンバーワン』というプライドだ。生来の負けん気の強さにも支えられてきたというそれは、倉田のキャリアの軸でもある。
「僕が言うナンバーワンは、自分が一番結果を出せるというより、ガンバを勝たせるために戦える選手、という意味です。ただ、それは意識して備えているわけではないというか。自分に言い聞かせたり、そう思い込もうとしている時点で本物ではないし、自然とそう口にできる自分がいて初めて本物のプライドとして備わっているはずやから。これがいつなくなるのかわからんけど、なくなった時点で引退すると決めています」

 もっとも今のところ、そのプライドには微塵の揺らぎも感じられない。試合に絡めても絡めなくても、先発出場でも、途中出場でも。状況に左右されずに「やり切った」と言い切れる日々を過ごしていることが、むしろ彼のプライドを際立たせている印象だ。
「サッカーは毎日の積み重ねでしかない。だからこそ頭の中にあるのは、これ以上は無理やな、今日もやり切ったなと、自分が満足できる毎日をブレずに過ごすことだけ。それができていれば絶対に後悔することはないから」
 言い切る言葉に、覚悟が光った。



高村美砂●文 text by Takamura Misa

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