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2023.7.3[チーム]

[ WE ARE GAMBA OSAKA ]MF10 倉田 秋

今シーズンのWE ARE GAMBAOSAKAのテーマは『言葉』。
キャリアにおいて、サッカー人生を大きく動かした言葉や、
自分を突き動かすパワーワード、
今の自分につながる忘れられない体験に触れ、
独自のサッカー観を紐解く。

 プロ17年目を数えるキャリアでは数々の出会いを通して、自分を支え、突き動かしてくれた言葉に出会ったという。ただ、それらを肥やしにしながらキャリアを進んできた中で近年、改めて思うのは『自分』らしくいることの大切さだ。特に昨年、悔しい時間を過ごした中でたどり着いた境地は今、倉田の芯になっている。
「20代の頃は、周りからどう思われているのか、どんなふうに評価されているか。他者の目をすごく意識していた自分がいました。特に昨年のシーズン終盤、試合に絡めず、ピッチに立ってチームを助けられなかった時は、キャプテンとしての見られ方というか、周りの目が気になって、めちゃめちゃ悩んだ時期もありました。でも、試合に起用するかどうかを決めるのは監督で、悩んだところで状況を変えられるわけではないですから。だからこそ、自分は自分でしかないんやから、試合に出ても出られなくても、自分がこれと思ったこと、信じたことをやろう、と。そんなふうに自分にしっかり目を向けられるようになったら、周りの目も一切気にならなくなりました」
 その経験を経て、今ではメンタルの浮き沈みもなくなったという。実際、昨年の終盤と、先発出場を続けている今とを比べても、何ら心境の変化はないそうだ。
「この世界はもちろん周りからの評価も大事だし、それを励みにする人もいると思います。でも、僕は性格的に、そればかりに頼ってしまうのでは限界がくるな、と。それを自覚して、自分だけに矢印を向けるようになったら気持ちが楽になったし、何が起きても動じないメンタルを備えられるようになった。ここ最近は試合に出られていますけど、じゃあ、出ていない時と何かが変わったのかといえば、メンタルも、練習への向き合い方も、サッカーに感じている楽しさも全く同じですしね。もちろんプロなので、それをチームや自分の結果に繋げなければいけないという責任感はあります。でもそのためにも自分らしくいることはすごく大事だと思っています」
 そうして自分に矢印を向けることが、決して独りよがりではないことは、今のガンバに倉田の背中を見て「自分も!」と奮起する若手が多いことからも明らかだ。試合前のロッカールームでも、毎回、倉田が飛ばす熱い檄に、張り上げる声に気持ちを震わせているチームメイト、スタッフも多いと聞く。
「それも、実は自分のためです(笑)。ガンバって練習ではみんな明るいし、ワイワイ楽しそうにサッカーをしているのに試合になると大人しいというか自分の殻にこもる選手も多いから。でも僕は基本的に、シーンとしているより、みんなでワァ~って声を出して、集中している雰囲気が好き。その方が自分も試合に入っていきやすいですしね。だから試合前も率先して声を出すし、盛り上げる。それだけですよ」
 ピッチの中でも、外でも決して飾らず、自然体に。だが、その姿は今、確かにチームのど真ん中で輝きを強くしている。



Interview and text by Misa Takamura

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