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2024.4.1[チーム]

[ WE ARE GAMBA OSAKA ]DF5 三浦 弦太

プライド。直訳すれば、誇り、自尊心。
プロサッカー選手の誰もが胸に宿すものとはいえ、
選手ごとにその抱き方も、考え方も大きく違う。
今シーズンのWE ARE GAMBA OSAKAは、
選手の心の奥底で沸々と煮えたぎる、
それぞれの、プライドを解き明かす。

 幼少の頃から負けず嫌いだった。両親を含めて周りから何かを強いられたとか、一番になることを求められた記憶はない。サッカーでも「常にいい部分を褒められて、楽しいと思わせてくれる指導が多かった」そうだ。だが、勉強もスポーツも、ともすれば学校行事まで、自分が「これは」と思ったことにだけ『負けず嫌い』が発動した。
「勝ち負けを意識して、というより一番だったら格好いいよね、くらいの感覚でしたが、基本的に負けるのは好きじゃなかったです。学校のマラソン大会や徒競走もそうだし、しょうもないことですけど、一番ご飯を食える! ってことにこだわっていたり(笑)。勉強もいい成績でいたいなと思っていました」

 ただし、たとえサッカーでも、スイッチが入らないことはあったそうだ。
「自分が得意じゃないことでは…例えば、技術で1番になろうと思ったことはないし、子供の頃からリフティングも好きじゃないし巧くなかったけど、だから練習したという記憶もないです。たぶん、好きじゃない=楽しくないからやらない、みたいな感じだった気がします。でも、例えば遠くにボールを蹴るとか、1対1とか、ヘディングで競り合うのは好きだからめちゃめちゃ練習したし、一番になることにこだわっていました」
 そして、そうしてこだわり続けてきたことが、自然と自分の武器にもなった。

 もちろん、プロになった今は「楽しくないからやらない」ということはなく、仮に好きではなくとも必要だと感じたことは積極的に取り入れている。最近でいえば練習後に決まって自主トレで『止めて、蹴る』の練習を続けているのもその理由からだ。
「子供の頃から『止めて、蹴る』の練習をもっと熱心にやっていたら技術がもっと伸びたかも知れないけど、逆にそこに意識がいっていたら、今の自分がいるのかは分からない。そう考えると何が正解かは分かりません。ただ、勝負の世界で生きる限りは、自分がこれだと思ったことを大事にしたいし、熱を注げる自分でいたい。特に僕は決してエリートなキャリアを歩んできたわけではないだけに、ここだけは他の人に負けたくないというプライドを持つことで生まれる自信はあるし、その自信が自分にいろんな勇気を与えてくれることもあるから」

 そしてもう1つ。ガンバに加入した17年から揺るぎなく備えているのが、このクラブの一員であることへのプライドだ。当時、感じ取った特別な空気を今も変わらず芯に据えて。
「初めてこのクラブに足を踏み入れた時から、ガンバには優勝を重ねてきたからこその空気というか、タイトルを獲らなくちゃいけないという雰囲気が漂っていました。結果的に僕が加入してから一度もタイトルを獲得できていないし、ましてや近年は残留争いに巻き込まれてしまっている現実もあるけど、あの時感じた特別な空気は今も忘れていません。だからこそ、何がなんでもここでタイトルを獲りたいという思いも強いです。ましてや長く在籍するほど、ガンバの歴史や在籍選手、スタッフのこと、クラブで働く人たちや応援してくれる人たちの想い、など、いろんなことを知ってタイトルを獲りたいという感情にいろんな理由ができていますしね。だからこそ、それをしっかり自分の力にして戦い続けたいと思います」
 各年代で主軸として活躍してきたセンターバックが受け継ぎ、18年からは三浦が身につけている背番号『5』も、常にそのプライドを自身に問いかけるもの。だから今も、三浦は『5』を背負い、ガンバで戦い続けている。



高村美砂●文 text by Takamura Misa

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