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2026.10.31[U-21]
[ガンバの未来] ④育成の現場から。アカデミー発足から35年。育成型クラブとしての歩み。
<第二章>未来を育てる。
ガンバ大阪がクラブ発足以来、受け継いできたアカデミーからトップチームまでの一貫指導体制。35年の歴史を数える今も揺るがない理念のもと、数多くのプロサッカー選手を輩出してきた。第2章ではそのアカデミーの歴史を振り返るとともに、アカデミーの今を紹介する。
Jリーグ発足に際し、加盟クラブには下部組織の保有が義務化されたのを受け、ガンバ大阪アカデミーが発足したのは92年だ。
初代監督の釜本邦茂氏(25年逝去)が運営していた釜本FCのジュニア、ジュニアユースチームがそのままガンバアカデミーに組み込まれ、かつユースチームが新たに発足。同初代監督には、釜本FCで運営や選手指導を任されていた上野山信行氏が就任した。
その中で、一期生の宮本恒靖(現日本サッカー協会会長)、高木健旨(現南葛SCヘッドコーチ)ら要するユースチームは同年、高校1年生だけでクラブユース選手権に臨み、高校3年生主体の他クラブを次々と撃破。準優勝を飾ると、翌93年のJユースカップでは3位に、94年の同大会では初優勝の栄冠を手にし、ガンバ大阪アカデミーの名を世間に轟かせる。それは『Jクラブアカデミーの存在価値』を知らしめる上でも注目を集める出来事だった。
以来、上野山氏が監督就任当初からその必要性を説き、クラブがその理解を深める中で軸としてきたアカデミーからトップチームまでの『一貫指導体制』は、35年の歴史を数える今も大切に受け継がれ、数多のプロサッカー選手を輩出してきた。
ジュニアでは『自主性を重んじながらサッカーの楽しさを教え、その中で自由にボールを扱える技術を身につけさせる』。ジュニアユースでは『ゴールに直結するプレーの優先順位を踏まえた中での判断力を備え、それに基づく技術、スキルを発揮できるようにする』。そしてユースでは『それまでの過程で身につけた基礎技術と判断力を個々が自立した考えのもとで早く、正確に発揮できるようにする』。
もちろん、時代の流れに応じて、かつサッカーの変化によって、その都度、プラスアルファの要素は組み込まれてきたが、その幹となる指針は、今も変わっていない。というより、変える必要がなかったというべきか。現在、アカデミーダイレクターを務める星原隆昭がその理由を説明する。
「いろんな考え方、クラブがあって当然で、チーム戦術に重きを置くチーム、指導者もいますし、それを否定するつもりはありません。ただ、我々、ガンバアカデミーの目的はあくまで将来、ガンバのトップチームで、あるいはプロの世界で活躍できる選手の育成です。それが長きにわたってクラブ内で、脈々と受け継がれてきたからいわゆる『ガンバらしい』と言われる個性、技術を備えた選手がたくさんプロの世界に巣立っていったと自負しています。事実、今年のトップチームには東口順昭や倉田秋、宇佐美貴史らを筆頭に12名のアカデミー出身選手が在籍していますし、堂安律や鎌田大地ら、日本代表の顔として活躍している選手もいます。広く目を向ければ今も国内外で、ガンバアカデミーを巣立った数多のプロサッカー選手が活躍しています。彼らの姿がある意味、ガンバアカデミーとしての答え合わせだと考えても、これからも『個』の育成が我々の軸であり続けるのは間違いありません。ただし、それに加えて現代サッカーに必要な資質を見逃さず、プラスアルファで選手に求めていくことも我々の使命だと思っています(星原)」
事実、今も各カテゴリーの先頭に立つ指導者は、選手個々の資質、特性をもとに、それぞれの成長スピードを見極めながら『個』の育成に重きを置いて指導にあたっている。
その中で、ガンバアカデミーで育てられた元選手が引退後、再びクラブに戻り、指導者としてキャリアを歩み始めてるのも近年では特筆すべき出来事だ。現在、ユースチーム監督は横谷繁が、ジュニアユース監督は大塚翔平が務めているが、彼らが自身に流れるDNAやそのキャリアで培ってきたさまざまな経験をもとに後輩を育てるというサイクルは、『一貫指導体制』をより強固にすることにもつながっている。
「今後もできる限りアカデミー出身で、指導者の道に進もうと思っている人材に、監督やコーチ業に就いてもらいたいと考えています。我々のクラブが大切にしてきた育成哲学を肌で感じてきた元選手がそのDNAを伝えていくことに大きな価値を見出しているからです。ただ、一方でアカデミーの発展を意識しながら、選手個々の成長を求めるには外部からの血と言いますか、いろんな経験をしてきた人材に関わってもらうことはすごく大事だという考えも持ち合わせています。その辺りは全体のバランスを見ながら指導者を配置しつつ、併せて、指導者の育成、成長も意識しなければいけないと思っています(星原)」
その思いがあるからだろう。今シーズンからは、かつて長きにわたってガンバアカデミーで指導者を務め、以降も海外を含めた幅広い育成の現場で指導経験を積んできた足髙裕司を8年ぶりにアカデミーサブダイレクターとしてクラブに迎え入れた。これも、歴史で育んできたアカデミーとしてのDNAを後世にしっかりと受け継ぐための施策の1つだ。
「ガンバを離れ、いろんな世界を見ることで、逆にガンバアカデミーが繋いできた歴史、その重みを知ることができました。アカデミー全体でサッカー感が共有されているだけではなく、ジュニアからユースまで『いいプレー』や『巧い選手』の定義を明確化して育成にあたっているクラブはそう多くはないからです。ガンバがアカデミー出身でワールドカップに出場した日本代表選手が最も多いクラブであり続けているのも、揺らぎない育成方針が備わっているからこそだと思っています。またガンバアカデミー出身の選手が国内外、様々なチームで長く活躍を続けられている事実も『個』にフォーカスして選手を育ててきた成果だと受け止めています。そうしたクラブの色、DNAを大事に受け継ぎながら、これからも個性豊かな選手を世に送り出すことがクラブの、僕自身の使命だと考えています(足髙)」
では具体的にこの先の未来に向かって、ガンバアカデミーとしてはどんな成長を求めていくのか。そのためにどんな取り組みを始めたのか。次回はその細部に目を向けつつ、育成に馳せる未来に触れる。
―
高村美砂●取材・文 text by Takamura Misa
【次回に続く】
第二章 ⑤アカデミーの現在地。育成に馳せる未来。
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