NEWS

ニュース

2026.4.13[チーム]

[ WE ARE GAMBA OSAKA 2026 ]GK1 東口 順昭

イェンス ヴィッシング監督のもとで始まった新生ガンバのキーワードは『前へ』。
選手、スタッフの誰もがその言葉を心に据えて、
プレーも思考も、さらにはフットボーラーとしての生き方を含めて前への意識を強め、サッカーに向き合っている。
今シーズンのWE ARE GAMBA OSAKAはそんな「前へ」突き進む男たちが、
キャリアを大きく動かした体験や出会いといった『突破』の瞬間にスポットをあてる。
その先に、彼らはどんな世界を見出したのだろうか。

 東口順昭がかつてジュニアユース時代を過ごしたガンバに戻った14年。大きな覚悟を胸に開幕戦からピッチに立つ中で手にした3つのタイトルは、彼のサッカー人生を大きく動かした。
「シーズンの前半は苦しみましたけど、ワールドカップによる中断期間後から5連勝で火がつき、その後の7連勝で波に乗れた。そこから先はルヴァンカップを0-2から逆転勝ちできたことを勢いにチームも、個人としても自信を膨らませながらリーグ優勝を実現し、最後は天皇杯でも頂点に立てた。あの経験は本当にキャリアの転機になった出来事でした。『三冠』を機に僕の名前もたくさんの方に覚えてもらえるようになりましたしね。(同年11月に)日本代表にも復帰できたことを含め、自分のキャリアをもう一段階グッと引き上げてもらったシーズンでした」
 ピッチに立つ自分にも大きな変化を感じたという。
「『勝者のメンタリティ』というか、劣勢の時間帯でも『ここを守り切れば押し返せる』とか、先に失点を食らっても『大丈夫、必ず取り返せる』という自信が備わったというか。だからプレー中も慌てへんし、むしろ余裕を持って試合に向き合える。例えるなら、ヤットさん(遠藤保仁コーチ)の蹴る脱力したPKのGKバージョン的な(笑)? 肩の力が抜けて冷静にプレーできるようになったし、そうなると不思議なものでプレーもどんどん良くなっていくんですよね。何ていうか、いい意味ですごく楽にプレーができるようになった気がした」
 と同時に『タイトル』争いという痺れる経験をもっと味わいたいと思えるようになったことも、成長に拍車をかけた出来事だ。加えて、日本代表の活動を通してよりハイレベルな世界に身を置いた経験も、彼をより高みへと押し上げた。
「今年で40歳になりますけど今も現役としてプレーを続けられているのは、間違いなく14年の経験があったから。勝つ喜び、タイトルを争う面白さを味わって、うまくなりたい、強くなりたいという欲がより膨らんだし、あの瞬間をもう一度と味わいたと思うことがどんな時も自分を奮い立たせてくれた」
 残念ながら14年以降は15年の天皇杯『連覇』を最後に『タイトル』の喜びは味わえていないが、彼の胸にある「いつか必ずもう一度、あの景色を」という欲は決して色褪せていない。しかも、今シーズンのチームにはその可能性を感じているという。
「タイトルから10年以上遠ざかっていることを思えば、正直、あの時代に得た自信が今も財産として残っているとは言い難いけど、もっとうまくなりたいという欲は今も自分の中心にある。どれだけ経験を積んでも『ゴールキーパーは奥が深いなー』と思うことだらけで、それがまた成長の欲に繋がっていますしね。その中で今年のチームにはどことなく14年に似た空気を感じるというか。選手、スタッフの輪というか、みんなでチームを作り上げていく雰囲気や練習から選手同士が厳しく求め合える空気も当時に似ている気がする。この空気をより確固たるものにするためにもAFCチャンピオンズリーグ2も、J1百年構想リーグも是が非でもみんなで獲りにいきたい」
 そのための役割として東口が心掛けるのは「どっしり感」だ。14年当時、チームの主軸だった遠藤保仁や今野泰幸、明神智和らがいついかなる時も醸し出していたその雰囲気を今度は最年長の自分が、と考えている。
「若い選手はのびのびと、中堅は思い切ったプレーで、ベテランはどっしりと。そのバランスが取れたチームは強いから」
 その覚悟はきっと15日、ACL2準決勝・2ndレグの舞台でも輝く。


高村美砂●文 text by Takamura Misa

Back Number