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2026.9.9[U-21]

[ガンバの未来] ②U-21 ガンバの現場から。新指揮官はいかに選手の成長を促していくのか。

<第一章>未来を描く。
2026/27シーズンに発足が決まったU-21 Jリーグ。今シーズンは全11クラブが参戦する同リーグにガンバ大阪も名乗りを上げた。育成型クラブとして新たな可能性を見出していくことが目的だ。第1章ではU-21 ガンバ大阪が描く未来図に触れる。

 8月23日にU-21 Jリーグが開幕。U-21 ガンバ大阪はアウェイの地でU-21 ファジアーノ岡山と対戦し1-0で勝利した。
 この試合が初指揮となった町中大輔U-21監督は試合後、「アカデミーの選手たちも数多く出場した中で、立ち上がりは少し硬さも見られましたが最後まで粘り強く戦ってくれた」と振り返り、改めて同リーグを戦う意義についても言及した。

「アカデミーの選手にとってはユースの大会以上にスタジアムで、あるいはDAZNを通してたくさんの人に観られている、応援してもらっている環境での公式戦は間違いなく刺激になる。また、アカデミーに比べると試合の強度も上がる中で、いつもできていたはずのプレーができない環境に身を置くからこそ『これまで以上に早く判断しなきゃいけない』『もうちょっと早くポジションを取ろう』という意識も自然と促されていくはず。そうした環境下でトライ&エラーを繰り返しつつ、そこにより戦術的な判断を伴わせながらタフに成長していってもらいたいと思っています」

 遡ること約1ヶ月半前の7月23日。町中ユースチーム監督のトップチームコーチ兼U-21監督就任が発表された。同監督はかつて、いわゆる『79年組』の一人として、稲本潤一や新井場徹らとしのぎを削ったアカデミー出身選手。現役引退後、11年にガンバジュニアで指導者としてのキャリアをスタートさせ、以来、ガンバユースコーチやジュニアユース監督、ユース監督など15年にわたって育成年代の指導者を歴任してきた。今回が初のトップチームでの指導になる。

町中大輔 トップチームコーチ兼U-21監督

「ずっとアカデミーの指導に携わってきた中で、若い選手を育てるところは自分の強みだと思ってきたからこそ、U-21監督にも大きなやりがいを感じています。ミョウさん(明神智和監督)はもちろん、他のスタッフともしっかり連携をとりながら、自分の強みをしっかり活かして仕事をしようと思っています」

 U-21岡山戦前にはチームに向けて改めて明神監督の意向を伝え、U-21ガンバとしての進むべき方向性、目標を明らかにしたという。

「トップチームの選手にはリマインドになりましたが、改めてミョウさんが強調されている『勝利とタイトルを目指して、なり得る最高の自分を意識して戦っていこう』ということをチームに共有しました。戦術や戦い方、個々に求めるプレーのところは、基本的にトップチームのサッカーがベースになりますが、その時々のメンバー構成によって同じシステムで、ということができない試合も出てくるはず。そこは臨機応変に対応していこうと考えています」

 基本的にはU-21ガンバとしてのトレーニングは行わないため、それぞれが所属チームでプレーを磨き、試合当日に選ばれたメンバーが集まって戦いに臨むことになる。そこまでの過程や選手のコンディション等については、町中U-21監督や横谷繁ユース監督、クラブスタッフらが、試合の週初めにミーティングを行い、共有されるそうだ。

「明神監督の意向をもとにトップチームの誰をU-21リーグで起用するかを決め、その上でアカデミーの選手を選ぶことになると思います。クラブからも発信されている通り、ユースの公式戦と日程が重なった場合はU-21リーグを優先する方針ですが正直、そこも臨機応変になるのかな、と。というのも、育成世代の強化という観点から逆算して考えた時に、仮にU-21で控えに回るのならユースで先発した方がより出場時間を確保できるからです。そのあたりはユースとしっかり連携しながら、各選手にとってより良い環境を与えられるようにしていこうと思っています」

 そうした環境下での指揮には当然、即席でメンバーを組むが故の難しさも伴うが「戦術の共有のところは心配していない」と町中U-21監督。ガンバアカデミーでは長きにわたり、今のトップチームのサッカーに通ずる選手育成、指導を徹底してきたからだ。

「特別シーズンからガンバが志向してきた『縦に速いサッカー』や、ミョウさんが大切にされている『状況に応じたベストなプレー選択、判断』は、長きにわたってアカデミーも大切にしてきた考え方です。選手には常に、ゴールから逆算して一番速い選択をすることを求めてきたし、『早くボールを奪えて、早くゴールに向かえる選手がいい選手』という定義は今も変わっていません。戦況や相手の出方によってその選択ができなかったときは繋ぐことや回すこともありますが、第一の選択は縦に速く、です。もちろん、最初にもお話しした通り、U-21リーグになると強度やスピード感が上がるため、しばらくは戸惑いもあるかもしれないし、より高い舞台を戦うためのインテンシティや厳しさも備えていってもらいたいと思っています。ただ、慣れていけばアカデミーの選手も十分適応していけるはずだし、ともにプレーするプロ選手の基準も感じながら、成長スピードもより上がっていくんじゃないかと期待しています」

 明神監督も町中U-21監督には全幅の信頼を置いているという。

「トップとU-21を差別化せずに『ワンチーム』で仕事をしてきた中で、他のスタッフと同様、マチ(町中U-21監督)にも僕が求めること、やりたいサッカーは理解してもらっています。逆にアカデミーの情報は彼から共有してもらうという連携も図れています。なので、あとはマチがそこから逆算した中での指導を思う通りにやってもらいたいし、選手たちにもマチを通して僕の考え方を知ってもらい、しっかりアピールしてもらいたいと思っています。ただ試合感覚を磨く、試合経験を積むだけではなく、明確にトップチームで試合に出ることを描いてプレーして欲しいし、観にきてくださるファン・サポーターの皆さんに各々の覚悟や思いがしっかりと伝わるプレーをして欲しい。それによってトップからアカデミーまで全体が『ガンバ大阪』として成長を見出していくことが理想です(明神)」

明神智和 トップチーム監督

 U-21リーグ開幕・岡山戦では今シーズン、トップチームではなかなか試合に絡めていなかった吉原優輝が初の公式戦に出場。そこでのパフォーマンスを直後の第4節・サンフレッチェ広島戦でのJ1リーグデビューに繋げた。また同じくU-21リーグ開幕戦でフル出場したユース所属の藤本祥輝が広島戦で初めてメンバー入りを実現し、岡本新大は第5節・V・ファーレン長崎戦で短い時間ながらJ1デビューを飾った。
 もちろん、それはトップチームに複数の離脱者が出てしまっている状況もあってのことだが、U-21リーグの発足によって若い選手の成長が促されれば、それは紛れもなくクラブの追い風となり、財産となっていくことだろう。ファン・サポーターの皆さんにもそんな『未来の大器』の発掘を楽しみにしながら、ぜひU-21リーグに足を運んでもらいたい。

<左>藤本祥輝選手 <中>吉原優輝選手 <右>岡本新大選手

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高村美砂●取材・文 text by Takamura Misa

【次回に続く】
第一章 ③未来に向けて新たな一歩を踏み出した、選手たちの決意。