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2024.6.10[チーム]
[ WE ARE GAMBA OSAKA ]DF4 黒川 圭介
プライド。直訳すれば、誇り、自尊心。
プロサッカー選手の誰もが胸に宿すものとはいえ、
選手ごとにその抱き方も、考え方も大きく違う。
今シーズンのWE ARE GAMBA OSAKAは、
選手の心の奥底で沸々と煮えたぎる、
それぞれの、プライドを解き明かす。
いろんな習い事をしていた幼少期、唯一続いたのがサッカーだった。
「水泳やピアノ教室にも通っていたんですけど、どれも全く興味を惹かれなくて。唯一、自分から『行きたい』と言ったサッカーだけは続いたんです。そこから自分はサッカーが好きなんやと気がつき、もっと巧くなりたい、仲間に負けたくないという感情が芽生えるようになった。その感情こそが今の自分にもつながる原点であり、大事にしているプライドでもあります」
特に、小学生時代に所属していたセンアーノ神戸で、周りから『黄金世代』と評されるほどハイレベルな同世代に恵まれたことも、刺激になったという。そこで思うように試合に出られない日々は、黒川の心に火をつけた。
「当時はFWやサイドハーフなどいろんなポジションをやっていたんですけど、とにかく周りが揃って巧くて。僕もドリブルだけは試合に出ている選手にも負けていない自信があったんですけど、トータルしてみると、自分の方が劣っていたというか。でもそれを素直に受け入れられていたから、もっと巧くなりたいとか、仲間とのポジション争いに勝って試合に出たい、という気持ちを強く持てていた気もします」
月日が流れ、プロサッカー選手となり、16節・FC東京戦で『J1通算100試合出場』を達成した今も、そのプライドは変わらずに持ち合わせている。近年は不動の左サイドバックとしてコンスタントに試合に出場しているものの、それが慢心に変わることがないのも、そのプライドのおかげだ。
「プロ1年目のように全くJ1の試合に絡めない状況の時は、プライドが支えになって気持ちを折らずに前を向けたし、こうして試合に出ている今も『ちょっとでも浮かれてしまったら、すぐにポジションを奪われるぞ』『自分が一番下手くそだ』という危機感とプライドを持って日々の練習に向き合っています。ただ、試合になれば話は別。いつも、自分が一番巧い、自分ならチームを勝ちに導くプレーができると思って試合に臨んでいます。プロの世界は、自信がなければ結果を残せないと思うから」
加えていうならば、今年からつけている背番号『4』も、そのプライドを強くしているもの。ガンバのレジェンド、藤春廣輝(FC琉球)に託された想いを胸に、チームをタイトルに導くことが今の目標でもある。
「ハルくんは4を背負ってガンバにタイトルをもたらしたけれど、僕はそれを達成できていない。それどころか近年は残留争いに巻き込まれることが多く、ガンバに何も残せていないシーズンが続いている。その状況を打ち破らないと、本当の意味で4を受け継いだことにならないと思っているし、今年はその思いを責任に変えて、ガンバをタイトルに導くためのプレーを心掛けてピッチに立っています」
その決意があるからか、あるいは積み上げてきた経験の成せる技か。近年はそのプレーに安定感と風格すら漂わせるようになった黒川。そのことを本人に告げると「いやいや、まだまだフレッシュにいきたい!」と笑った。
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高村美砂●文 text by Takamura Misa
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