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2023.9.11[チーム]

[ WE ARE GAMBA OSAKA ]DF24 黒川 圭介

今シーズンのWE ARE GAMBAOSAKAのテーマは『言葉』。
キャリアにおいて、サッカー人生を大きく動かした言葉や、
自分を突き動かすパワーワード、
今の自分につながる忘れられない体験に触れ、
独自のサッカー観を紐解く。

 プロ1年目の20年。J1リーグでの活躍を描いてスタートしたキャリアは黒川圭介が想像していたのと全く違う方向に進んでいた。サッカー人生において初めて「引退」の文字がよぎるほどに、だ。
「最初はトップチームでプレーしていたんですけど、夏以降はほとんどガンバ大阪U-23で活動して、J3リーグを戦って…。秋頃に少しだけトップチームの控えメンバーに入りましたが起用される気配はなく…。自分としては戦力として全く数えられていないんやなと思っていました」
 この年のJ1リーグへの出場は2試合、時間にして4分。当時はコロナ禍だったことを受けて、トップチームとU-23チームはロッカールームが分けられていたことや、練習も違うグラウンドで行なわれていたこともあり、言い知れぬ疎外感の中で押し潰されそうになっていた。
「追い込まれていましたね。ユースの選手が来られない日は4人とかで練習する日もあって…。4人でひたすら対人練習をして、負けたら走って、みたいな繰り返し。そのうち自分が何をやっているのかわからなくなって、もう限界やなって思ったことも何度もありました。当時は週1回のPCR検査の日だけトップチームのみんなと顔を合わせていたけど、トップのみんなに気を遣われるのも正直、嫌で。頭ではありがたいと分かっていながら、放っておいてくれって思っていました」
 そんな状況から抜け出すため、夏のウインドウでは他クラブに活躍の場を求めることも考えたという。自身の物足りなさは自覚しながらも、大卒でプロになった以上、即戦力として活躍しなければプロとして生き残っていけないという焦りもあったからだ。だが、森下仁志U-23監督に掛けられた言葉で踏みとどまった。
「圭介の能力があれば絶対にトップで活躍できる。というか、俺が必ずお前をトップで活躍できる選手にする。踏ん張りどきだぞ」
 その言葉に力をもらった彼は「あと半年、ここで勝負する」と覚悟を決めたという。
「厳しい言葉も掛けられましたけど、仁志さんはいつも本気で僕に向き合ってくれた。だからこそ信じようと思えたし、U-23でもがいている時間も全部自分のものにしてやると思えた。J3リーグを戦いながらも、常に仁志さんはJ1リーグを基準にアドバイスをくれたし、この時間をしっかり積み重ねたら必ず力になると信じて向き合いました」
 その1年が黒川のキャリアにどんな影響を及ぼしたかは、今の彼のピッチでのパフォーマンスを見れば明らかだ。21年はライバル、藤春廣輝の怪我もあって序盤にスタメンに抜擢されると、J1リーグ19試合に出場。22年以降は、不動の左サイドバックとして先発のピッチに立ち続けている。
「U-23時代は、ウイングバックもサイドバックもやりましたけど、とにかく僕の特徴である前への推進力、突破力、背後へのアクションなど、前にパワーをかけていくプレーを求められたし、それを徹底して磨く時間になった。それは間違いなく今の自分に活きている。守備の強度は意識しながらも、常に自分らしくアグレッシブに攻撃に絡んでいきたいと思っています」
 今シーズンの目標はJ1リーグで『10ポイント』に絡むこと。現在2ゴール2アシストの彼は残り8試合でも自身の結果を貪欲に求めつつ、それをチームの勝利に繋げることに全てを懸ける。



Interview and text by Misa Takamura

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