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2023.9.18[チーム]

[ WE ARE GAMBA OSAKA ]FW8 食野 亮太郎

今シーズンのWE ARE GAMBAOSAKAのテーマは『言葉』。
キャリアにおいて、サッカー人生を大きく動かした言葉や、
自分を突き動かすパワーワード、
今の自分につながる忘れられない体験に触れ、
独自のサッカー観を紐解く。

 自分のために本気になって怒り、言葉をぶつける。胸の内にある苛立ちをすべて受け止めた上で「自分に矢印を向けろ」と檄を飛ばす。ガンバ大阪U-23でのプレーが続いていたプロ3年目。同監督に就任した森下仁志のそうした熱に触れた時、食野亮太郎の中で何かが大きく動いたという。

「この年は、シーズン前のキャンプもトップチームには帯同させてもらえなくて、ずっとイライラしていたんです。なんでユースと一緒に練習しなあかんねん、なんでプロやのに6人で練習してるねんって。きっと態度にも出ていたと思います。だからチームが始動して最初の3ヶ月くらいはずっと仁志さんに怒られていました。しかも、練習への取り組みとか、プロとしてのあり方とか、メンタルのことばっかり。なんならプレーのことはめちゃめちゃ褒めてくれたし自信を持たせてくれる言葉がけも多かったんですけど、最初はそれも納得がいかなくて。プレーを評価してくれるならトップにあげてくれ、って思っていました (笑)。でも、その考えをぶつけるたびに仁志さんは僕と真正面から向き合ってくれたし『自分に矢印を向けろ』と言い続けてくれた。『試合に出られるかどうかは自分では決められない。それなら、自分で変えられることだけを考えろ』って。その言葉の本当の意味を理解できるようになった時にプレーが変わっていくのを感じました」

 特に、気持ちのムラがなくなったことはプレーの波を減らし、J3リーグでのゴール量産につながっていく。その事実は、J1リーグでのプレーにとどまらず世界的ビッグクラブ、マンチェスター・シティFCへの完全移籍を切り拓いた。

「自分に目を向けるようになったら、今の自分に何が足りなくて、何をすればいいのかが明確になって。プロの世界で活躍し続けられる自分でいるためには食生活も、サッカーへの向き合い方も見直すべきことがたくさんあると気がついた。あとは、自分がどうありたいか、という芯もこの時に明確に備わった気もします。僕はミスを恐れてプレーするのが一番嫌い。だからサッカーも人生も攻めのチャレンジを選択したいな、と。人生に2つの選択肢があったら必ず厳しい方を選んでチャレンジできる自分でいたいと思っています」

 そのマインドは今も変わっていない。サッカーも、人生もいい時ばかりとは限らない。だが逃げずに向き合い続けていれば、良くない流れも必ず、自分の流れに変わる日がくると食野は信じている。
「人間ってうまくいかないときは必然的に考えることも増えるけど、僕は自分がうまくいっている時こそ考えることが必要だと思っています。もっといいプレーができるようになるために、もっと点を取るために、ガンバが勝つために、このクラブにタイトルをもたらすために、自分には何ができるのか。そうやってもっと、もっとと求めて自分にはっぱをかけ続けていれば、きっと今の自分を超えていける。だからこそ先を見ず、目の前のことに集中して、自分に矢印を向けて戦い続けたいと思います」

 自分が理想とする自分であるために。まだ見たことのない景色を見るために。



Interview and text by Misa Takamura

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