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2023.11.27[チーム]
[ WE ARE GAMBA OSAKA ]MF21 塚元 大
今シーズンのWE ARE GAMBAOSAKAのテーマは『言葉』。
キャリアにおいて、サッカー人生を大きく動かした言葉や、
自分を突き動かすパワーワード、
今の自分につながる忘れられない体験に触れ、
独自のサッカー観を紐解く。
「自分より大変な思いをしている人はたくさんいる。試合に出られないなんて悩みは贅沢だ」
塚元大がガンバU-23の一員としてJ3リーグに出場し始めた頃、森下仁志監督に何度も投げかけられた言葉を心から理解できたのは、ツエーゲン金沢に期限つき移籍をした昨シーズンだったという。新天地で新たなスタートを切った矢先、開幕前の練習試合で右膝外側半月板断裂の大けがを負った塚元は、復帰を目指すリハビリの過程で何度もその言葉をリマインドし、前を向いた。
「もともと僕はよく周りから『話を聞いていない』って言われるタイプだったんです。実際、仁志さんに限らず、いろんな方からアドバイスはもらってきたはずですけど『プレーするのは自分だ』という思いが勝って流れていってしまった言葉もあります。ただ、この言葉だけは繰り返し言われたからか、自分に刻まれていたらしく、初めて自分がサッカーができない状況に陥ったときに蘇ってきました。おかげでリハビリ中も『ケガさえ治せばまたサッカーができる。だから今、できることを全力でやろう』という気持ちになれた」
戦列に復帰直後、再び同じ箇所を痛めて再離脱になった時も、そのマインドで自分と向き合えたことが、結果的に1年半にも及んだリハビリを乗り越える術になった。
そして、今、再びピッチに立つ彼は、その経験をもとに『聞く力』を意識するようにもなったと話す。
「仁志さんに言われていたことに実際の経験が重なって、自分に投げかけられる言葉には意味があると思うようになったというか。それもあって最近は監督やコーチに言われた言葉を受け入れるだけではなく、携帯電話のメモ機能に書き留めて試合の前日などに見返すことも増えた。そうやって頭の中を整理してピッチに立つことの大切さを今はすごく感じています」
唯一の悩みは、聞く力を備えることで、プレー中に考え過ぎてしまうようになったこと。だが、それも「慣れていくしかない」とポジティブに受け止めている。
「今はまだシンプルにプレーしようとしすぎて、自分で剥がした方がいいシーンでもワンタッチではたいてしまうとか、それでボールを失ってしまうといった判断ミスが起きていますけど、もともと僕はそこまで自分のスタイルを貫こう、絶対に自分らしさで勝負したいという選手ではなかったので。柔軟にプレーできるのは自分の良さだし、今、生まれている悩みも間違いなく成長につながるものだと思う。だからこそ、新しいアドバイスをどんどん受け入れながら、自分のプレーとの融合点を見つけて、結果につなげられるようにしていきたいです」
思い切りプレーできる幸せを、噛み締めながら。
「今は本当に毎日が楽しいです。復帰する前からボールタッチの感覚はすごくいいなと思っていたのに、戦列復帰後、初めてドリブルをした時にはあまりに足にボールがつかなくて焦りましたけど(笑)。それも時間が経つ中でようやく自分の感覚を取り戻せたので、あとはさっき話したような融合点を見つけられれば、以前の自分を超えるプレーを見せていけるんじゃないかと思っています」
すでにその変化はピッチからも感じられる。だからこそ、待ち望むのはゴールだ。
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Interview and text by Misa Takamura
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