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2024.8.4[チーム]
[ WE ARE GAMBA OSAKA ]MF41 中村 仁郎
プライド。直訳すれば、誇り、自尊心。
プロサッカー選手の誰もが胸に宿すものとはいえ、
選手ごとにその抱き方も、考え方も大きく違う。
今シーズンのWE ARE GAMBA OSAKAは、
選手の心の奥底で沸々と煮えたぎる、
それぞれの、プライドを解き明かす。
意外にも、子供の頃からあまり自分に自信を持てなかったそうだ。チームの中心選手であることへの責任感の強さゆえかもしれない。
「小学生の時もガンバアカデミーでプレーするようになってからも、試合でチームの調子が悪ければ、全部、自分のせいやなって思っていました。練習や紅白戦を含めてチームが思うように試合を進められないときは『自分が足を引っ張っているからこうなってるんやろうな』と受け止めていましたしね。周りからは『そんなことないで』って言ってもらえてもなかなか自信が持てなかった」
常に点を取るポジションでプレーしてきたのもある。
「自分が点を取っていたら勝てた」
「いいボールを送り込んでいたらシュートチャンスにつながった」
サッカーは点を取ることで『勝ち』を引き寄せられる競技だからこそ、結果が出ない時こそ、責任の矢印を自分に向けた。幼少期にサッカーを教えられ、いつも一緒にボールを蹴っていた父の影響もあると言う。
「自分で言うのもなんですが、小さい時は周りの誰よりも巧かったし、ほとんどミスをした記憶もないんです。なのに、お父さんにはぜんぜん褒められなくて。むしろ、うまくいったプレーより、1つのミスをめちゃめちゃ厳しく指摘されることばかりでした。大人になって当時のことをお父さんに聞いたら『天狗になった時点で成長が止まるから、敢えて良くないところを見つけて指摘してた』って言っていましたけど、そのおかげで、プロになった今も、うまくいったプレーより、うまくいかなかったプレーの方が気になって、考える癖がついているんだと思います。仮にいいプレーができたとしても、次の瞬間には『次の試合も同じようにプレーできるかな』って思っているし、練習でシュートを1本外すだけで、評価が下がるんちゃうかって不安になる。練習の最後に、1つミスをしただけで、家に帰ってもそのことばっかり気になります。ネガティブ思考ということではないんですけど」
事実、うまくいかなかったプレーについてとことん考え尽くすことが、自身のプレー幅を広げることにつながってきたところもあるそうだ。
「プレーする上で、自分のイマジネーションやアイデアは大事にしていることの1つですけど、一方で、『考える』ことが自分の変化や新しいアイデアを生むことに繋がることもある。実際、ミスについて考えていれば、自然と他の選択肢を想像していますしね。ピッチでも、1つのプレーに固執し過ぎてミスが起きるのは良くないけど、局面ごとに、いろんな選択肢を想像した上で、これだと思えるものを選んで、技術的なミスが起きたなら、それは次につながるプレーになるはず。だからこれからも自信を持たない、自分のプレーを疑う、という僕なりのプライドを成長に繋げていきたいです」
子供の頃から持ち合わせ、今も大事にしている「自分が楽しんでプレーしていたら、きっと観ている人もサッカーを楽しんでくれる」というマインドも、その心に光らせて。
―
高村美砂●文 text by Takamura Misa
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